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中武 萌 選  2020年12月号

生きていくとはこういうことかと感じた歌を選びました。

かなしみひとつ箱に収めて封をせりそれでも残る原石と寝る
尾﨑朗子

使い捨て紙パンツに馴れ消灯の廊下をクラゲのごとく歩めり
檜垣実生

どこまでもひとりぼっちになりたくて冷めたミルクをただ温める
大橋謙次

老い母の剝き出しの感情のごとグロリオサ咲く反転する花弁
今貴子

ランドセルくっつけあってしゃがんでるひとに触れたい生きもの人は
栁本英樹

あぎとへる形(なり)そのままに焼かれたる落鮎のもだ畏れつつ食む
衣袋洋子

水を断ち薬は飲まず枯れてゆく犬の終わりは美しかった
梅原秀敏

くちびるに乳含みたる綿棒を当てられ赤子は腕をふるはす
加古三津代

あはれあはれZoom の窓からこぼれたりその人が夫を叱咤する声
米川千嘉子

つけつけとわれにもの言うこともなし感情に赤線を引かれて
齋藤芳生

※ ( )カッコ内は前の語句のルビ。