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夏の歌を選びました。
連れ出してはつなつの雲と遊ばせる犬も子どももわたしにおらず
中津昌子
秋までを野に放ちてはがらんだう牛舎に夏の風吹き抜ける
上舘三樹子
まゆさんがイオンと言ふから夏マスク口(くち)コミ最強イオンの買ふわ
大石友子
水蜜桃あふれんばかりの甘き汁すいつくわれのうちはからっぽ
谷川保子
雨滴ため思案するがに薔薇の問ふ「自粛と昼寝の違ひはあるか」
工藤 章
名はムサシ。クラスで飼ひしクワガタを飼育係の孫持ち帰る
竹花美千子
森の傾(なだ)りに萱草の花にほふらん行かねど見ゆる景のこひしさ
馬場あき子
見えざるもの孕む銀河の質量を翻しつつフレアスカート
岡方大輔
夜を帰れば灯火の庭に家(うち)の蟇道路に出るなとたしなめたりす
長友一代
真っ白く四角い部屋に起き臥してひとり足元に刺草生ふる
長谷川典子
※ ( )カッコ内は前の語句のルビ。
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