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「不在」または「不在の存在」という観点から。
(上條 素山 選)
ベル何度鳴れどもわれは焦らないどこのどなたぞあきらめて欲し
岩田正
今年また桜は白い〈顔無し〉としてわたくしと母親のまへ
米川千嘉子
失くしたらわたしを陥れるだろう一種の神器としてスマートフォン
遠藤由季
パンク精神守ってバンドTシャツを裏返してから洗濯機へと
川島結佳子
俯きて水飲みたれば鼻の奥つんと痛みぬここがこころよ
尾崎朗子
梅の木に白満開のかなしみよ もう見られても見られなくても
浦河奈々
【ディープキス、完全ガイド】を読むよりはもう寝た方が有益だろうな
小田切 拓
その脚で月踏むゆめも遙けくてひとびとの眠るちから衰ふ
松本典子
空き缶のアルミニウムがふる雪に時間をもらひながらうづもる
渡辺松男
いちまいの銀の刃入れてにんげんの「笛」ひゆうひゆうと言葉を鳴らす
坂井修一
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