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「水(分)」の変容としずかな濃縮を感じる歌を選びました。
(若槻真美子 選)
「泣かないでアマテラス」を聴いてゐる車窓明かりのともる洞・くらい洞
米川千嘉子
白鳥の長きくび水に潜るとき顕れいでよニケの背中は
浦河奈々
晩夏光アザミの蜜を吸う蝶の長き釣り糸漏らす午後なり
江川美恵子
千の蝶、万の樹木をのみのみてふくらみやまぬ霧は生きもの
齋藤芳生
発情をおえて死にゆく鮎の棲むみずのひかりが下流にとどく日
中山洋祐
心太の沈むみづぶねのぞきこむ底の硝子の柩を見むと
碧野みちる
明月が織姫神社にかかるころ柩の義母の口紅つやめく
辻 裕弘
露の髪重たかりけむ相聞をいくつ捨てしか和泉式部は
遠藤由季
すすきの波ゆたにゆたに白髪になるともみたし水谷豊
古志 香
ひとの世をこころはなれてあそぶなれざぶざぶと立つなかぞらの波
坂井修一
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