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2014年10月8日、皆既月食の夜に、月や星の歌の中から選びました。(遠藤由季)
褐色のライチをむけばぽっとりときのうの月の白さ出でくる
鷲尾三枝子
八千億円の防潮堤は誰がためとまなざし深く星々は問ふ
北辺史郎
太陽におごりを焼かれ身を透かれ月に弱みを慰めらるる
外須美夫
Tシャツをすらりと着こなす講師なり三日月のやうに話しつづける
真鍋真悟
満月はわが静脈のうちまでも水銀色の香りで満たす
正藤陽子
タワーマンション積み上げてくる腕力は怖しと星が後ずさりする
大竹明日香
月光にいく千の白うかばせし夕顔今朝は干瓢となる
増渕弥生
漱石の『夢十夜』をば読みさして朱く大きな月みて眠る
小林勝幸
虫の音が澄んでゐますと師の電話おかげさまですうつくしき月
泉可奈
乗りて来し列車遠ざかる浜の駅真上に白き星が出てゐる
藤井雅和
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