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住みながらこの国だんだん遠くなるてんじんさまのほそみちのやう
馬場あき子
葛の花母がきれいであつたころこんなにほひにわが手を引きき
渡辺松男
夫婦つていいものかしらといふセリフ言ひさうになり氷をくづす
梅内美華子
ひつまぶし三種の食べ方楽しみてまぼろしのやうな白湯を飲みたり
遠藤由季
小鳥やの百羽のなかの一羽の死もらひ受けたりこの両の手に
湯舟直子
階段教室いちばん上から見てゐたりいつもの席にわらふ二人を
浦河奈々
原発の上空高く放射能食べて身を焼くよだかあらんか
外須美夫
北風も太陽もだめエリュシオンの花薫るときわたくしは脱ぐ
大竹明日香
ステンレスボトルの氷からころとひびかせて満員電車に揺らる
三浦聡子
血走りてパチンコの玉追ふ眼つき日本列島いらいらとする
岩田 正 |
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